2018年W杯観戦の見どころについて

2018FIFAワールドカップ(W杯)の光がロシアの大地を照らし、世界中の熱烈なサポーターが狂喜乱舞する4年に1度の祭典が始まる。フィールドで誰が名を成し、誰がMVPに選ばれ、そしてどのチームが7戦を勝ち抜くのか。こうした疑問に対する答えはすべて、これから1ヶ月ほどの間に一つずつ明らかになっていくことになる。

2018ワールドカップ

開催国の勝算は?

過去2大会において、開催国の成績はいずれも期待通りとはいかなかった。南アフリカ共和国は決勝トーナメントに進出できなかった初の開催国という結果となり、2014年大会の開催国ブラジルは、優勝という母国の期待とはかけ離れた結果に終わっただけでなく、ホームグラウンドで屈辱的な敗戦を繰り返す結果となった。今大会の開催国ロシアのここ数年における成績を見る限り、やや不安を抱かざるを得ない。ロシアのグループリーグには飛び抜けて強豪なチームはいないとはいえ、ウルグアイやエジプトとの対戦でのロシアの勝算は、それほど大きくはない。

ロシア代表チームそのもののパフォーマンスだけでなく、ロシアが今大会を大成功に導くことができるかどうかという点についても試練が待ち受けていると言える。一連の騒動を経験し、ロシアの大会運営能力には疑問の声が多く上がっている。スタジアムや交通、安全保障、ホスピタリティなどさまざまな問題に対して、果たしてロシアはどんな答えを出すのだろうか?

メッシVSロナウド

ラ・リガからUEFAチャンピオンズリーグまで、クラブチームから国の代表チームまで、スタジアムの内から外まで、リオネル・メッシ選手とクリスティアーノ・ロナウド選手に比肩する選手はいないといっても過言ではない。今大会での両選手の活躍ぶりが注目されるのは間違いがない。現在、最も実力あるスター選手として、メッシとロナウドのW杯での戦歴は、非常によく似ている。2人とも初出場は2006年大会で、総ゴール数はいずれも5ゴールを上回らず、優勝経験もない。そして2人とも、今回が最後のW杯となる可能性が高い。

今回メッシが栄冠を手にすれば、本当の意味でマラドーナと肩を並べることになる。一方、ロナウドが王座につけば、サッカー選手としてのキャリアを完全なものとすることができる。試合日程によると、アルゼンチンとポルトガルがいずれもグループリーグで好成績を残し、ベスト16に進出すれば、2人は準々決勝で対戦する可能性がある。そうでない場合は、決勝での対決となる。

誰が「名を成す」か?

歴代のW杯大会は、選手が自分を表現する舞台であるとも言える。メッシやロナウドなどの超大物選手は、知名度を上げるのに、この4年に1度の舞台は特に必要ではなかったが、他の多くの選手にとって、W杯は、自分の夢を実現するための近道なのだ。フランク・リベリー、メスト・エジル、ルイス・アルベルト・スアレスといった選手たちはいずれも、W杯に出場したことで初めて、世界中の人々から喝さいを浴びた。

W杯をきっかけに華麗な転身を遂げた選手には、2種類のタイプがある。たとえば、ハメス・ロドリゲスやポール・ポグバのように、出場当時少し名前が知られていた程度の選手は、大会後、スーパースターとして人気が一気に爆発した。一方、ケイラー・ナバスやクラウディオ・ブラーボのような選手は、大会前は全く無名だったが、W杯での活躍によってたちまち世界トップクラスのクラブの「中心的存在」に転身した。今大会でも、多くの選手が初出場となるが、彼らのうち一体誰が、名門フットボールクラブの「ドアを叩く」ことができるのだろうか?

アジア勢の活躍は?

前回のブラジル大会では、アジアから日本・韓国・イラン・オーストラリアの4チームが出場したが、この4年間で、アジアからは、韓国ソン・フンミン(孫興民)選手のようなプレミアリーグさらには欧州リーグでも卓越したトップレベルのスター選手が登場し、Jリーグの鹿島アントラーズもFIFAクラブワールドカップで強豪世レアル・マドリッドを苦しめたこともあったが、ナショナル・チームのレベルで見ると、アジアサッカーと世界の強豪チームとの間の差は、ここ数年で特に縮まっているようには見えない。

今大会に出場するアジアのチームは、歴代大会最多の5チームだが、グループ分けを見ると、非常に不利な状況にある。開催国と同グループのサウジアラビアは、すぐに「消えていく」チームの一つとみられており、日本、韓国、オーストラリア各チームは、どのグループでも、相手を打ち負かせるような実力は備わっていない。アジアの「兄貴分」であるイランは、予選リーグでは好成績を残したものの、スペインやポルトガルと対戦することになる。アジア勢は「勝てない」という筋書きを一部書き換えることができたとしても、決勝トーナメント進出の可能性はかなり難しいと予想されている。

MVPは誰の手に?

メッシからロナウドまで、モハメド・サラーからネイマールまで、ロベルト・レヴァンドフスキからルイス・スアレスまで、五大リーグの最優秀フォワードがロシアに集結する。トップレベルのフォワードは、クラブでのコンディションをどの程度ロシアに持ち込んでいるかが、各チームのW杯の行方を直接左右することになる。

W杯のMVPについて言及するなら、ドイツのトーマス・ミュラーの名前を挙げない訳にはいかない。FCバイエルン・ミュンヘンに所属するこの20代の選手は、過去2大会で得点ランキングトップ10入りを果たし、ワールドカップの現役選手の中で最優秀のストライカーと言える。一時期スランプに陥ったこともあるとはいえ、バイエルン・ミュンヘンのユップ・ハインケス監督の指導のもと、ミュラー選手のコンディションも元来の状態を取り戻した。